2012年9月27日木曜日

#DevLove #Experience_Vision に行ってきたのでメモ


あとでまとめるとか絶対しないからとりあえずメモをアップしますー。

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@papandaさんより本日のコンセプト説明
今日で93回目。
最初の1時間で山崎先生から説明
次の30分で参加者同士のダイアローグ
最後の30分でQ&A

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Experience Vison のはじめかた
山崎和彦さん

最初に10分間くらいで全体像と事例の話。
それから50分で講義形式で、本の代表的なところをかいつまんで説明。
最後に、みなさんがこれからワークショップをする上でどんな方向性があるかといった話をします。

山崎先生の自己紹介。
クリナップからIBMへ移った。その時、ソフトウェアのインターフェースなどをつくっていてそのころからUXなどをやっていた。所属していた事業部がレノボに買収されてそれからコンサルティングをやっていた。今は千葉工業大学で仕事をしている。
IBM時代、アメリカの人と話すと彼らは夜、勉強をしているとのこと。大学の単位を少しずつ取って、5年かけてMBAを取ったりとか。それで刺激を受けて、神戸芸術工科大学と東京大学の博士課程に通って論理的なことを学んだ。会社では実践。
Product、空間デザイン、Web、UIデザイン、グラフィックデザインなどもやっている。
UCD、UXの観点で世の中のいろいろなものを今までとは違った視点で捉えてデザインをする活動をしてきた。
やり方をまとめることも大事かと思い、書籍執筆もやっている。
「使いやすさのためのデザイン」
「情報デザインの教室」
「PRODUCT DESIGN」
学校に行っても教え方がバラバラだったりした。そこで、体系的で教科書になるものを作った。
こういうのは世界中でもあまりない。
自分たちの活動を本として出版することでみんなに使ってもらえる、少しは社会の役に立ったかな(美味しくビールがのめる)と思っている。

Experience Vison は5年かけて作った本。
デザイン事務所、リコー、学校の先生などで一緒につくった。
何故、5年かかったかというと、実際の合宿でワークショップなどをしていて時間がかかった。
それと良い手法があったらどんどんとりいれることにした。あるものはそのまま使う。ないものをは作る。
ただしペルソナもストーリーテリングもそれを書いた人達はそれで世の中の問題がなんでも解決するような書き方をしている。それは無理があるので、いろんな手法を上手く使いこなすような本がなかったのでそのようにした。

目の前の課題、お客さんのクレーム、企画部門の要求など、日々いそがしく開発をしているけれど、その前にもうちょっと遠くをみて、本当にユーザーに取って大切なことは何か、戦略を立てるとか、そういうことがこの本の主旨。
もともと日本人は優秀で、車の設計などをすると品質のいいものが作れたりする。Webサイトでも欧米の人がこまかいところにいきとどいていないのに日本人は上手くできたりする。アメリカ人はよくゲームチェンジという。日本人と同じ土俵では戦わない。安く効率的なところに負けてしまう。だからゲームチェンジをして戦う。もしくはゲームのルールを自分たちで作ってしまう。だからこそ、目の前の問題だけじゃなくて、長期的なところを観る。

ユーザーのニーズがあったら、それを問題解決する。そういうプロジェクトも必要だけど、新しいものを作るとか、これまでにないところで勝負するとなると、もう一度、ユーザーに取って本質的に何が必要なのかを考え提案することが必要だと思い、この本に書いた。

図.イノベーションの度合い、プロセスの時間軸
直接的な解決とはちょっと違って、これまでにない、他社と同列ではないものをしようとしたらそういう目標設定をして、ユーザーの本質的な課題をみつけだして、バリューシナリオ、ユーザーに取っての価値を書きだす。いったんビジョンを考える。

人間中心設計のもとづくビジョンなどは、これまではユーザビリティが中心でユーザーのニーズに対してアプローチしていたけど、これからはユーザーの価値に基づいてDESIGNをする。

例えば、目覚まし時計をデザインしようとすると、これまで見てきたものから発想してしまう。
そうではなく、気持よく朝起きられるものをデザインしようとなると変わる。例えばスマフォにかわいい女の子の声で「おきなさい」といってもらえるとか。
ぜんぜん違う発想、チェンジゲーム。
これまでのものから発送すると、安く作るとかそういうところでの勝負になる。

視点は2つあって、ユーザーの視点とビジネスの視点から考えようというのが、この本のアプローチです。
これまでの本ではそこが分かれていた。ビジネス自体も並行して考えていく。
プロジェクトの目標をたててユーザーへのインタビューなどから本質的な価値を探す。考える。
それと並行してビジネスを戦略的に考える。両方を睨みながらだんだん具体的にしていく。

この本に書かれていることを実際にやってみようとなったとき、テンプレートがあった方が始めやすいと思ってテンプレートをダウンロードできるようにしてある。無料で。本を買わなくてもダウンロードできる。
それを使ってワークショップができる仕組みになっている。
どんなテンプレートがあるか。
たとえばプロジェクトの目標設定のテンプレート。多くの場合、これが曖昧だったり、低レベルの目標設定をすることで新しいアイデアとかが埋もれることもある。
ビジネスの提供方針。
ユーザーの本質的要求。
そこからユーザーのペルソナのようなものをつくっていく
そこからだんだん具体化していく流れ。

最近、全体像が大きくなりすぎて最初から最後まで全部やるのは時間がかかるので、全体像をつかめるテンプレートを作った。BMGのキャンバスを気に入っていて、全体像が掴めるものを作った。出版する一ヶ月前にできた。これのワークショップはまだ一回しかやってないけど良さそうだと思っている。
最初に全体像を掴むのが良いのかなと思っている。

この本には具体的な事例が入っている。
富士通の携帯電話。
ASUSのパソコンのデザイン。台湾にはシナリオラボというデザイン事務所がある。
富士通のパソコンのアプリケーションに使った事例
Webサイト、バイオ系のベンチャー
情報セキュリティのトレーニングシステムの開発
新しいジーンズの開発
神奈川大学

あとワークショップでもいろいろやっている。例えば、チョコレートを使って新しいビジネスを作るとか。
SUICAのようなものをつかったサービスの考案とか
電子コミックのスマートフォンアプリとか

実際にこの手法をつかった事例がいっぱいのっていて、そこからヒントが得られると思う。


この本では、人間中心設計とかは変わらないけど、デザイン思考とかイノベーションとかって何だろうというのはある。イノベーションを起こすのに役立つことを考えている。サービスの開発っていうのも背景にはいっている。
ユーザーの本質的な価値、望む体験・経験を提供すること。これがExperience Vison の考え方。

僕らはこの本をエビ本と呼んでいて、略すとエビじゃん、これは笑ってほしいポイント。
エビっていうのを流行らせようと思っている。

人間中心設計は日本ではユーザビリティの考え方が強かった。
欧米ではHCDの考え方をイノベーションに使っていくっていうのがけっこうある。
問題解決型デザインと提案型デザインの2つがある。
これまでの問題解決型はこれまでの人間中心設計の本にいっぱい書いてある。
Experience Vison では提案型に特化している。
提案型は潜在的なニーズに入り込んでいって魅力的な価値を創出する。

提案型デザインアプローチにもいろいろある。
ダイソンのとか。種類は
・市場分析を中心とした。。。
・経験や完成から。。。
・人間を中心とした。。。
この本では人間を中心としたビジョン提案型デザイン手法ということになる。

基本的なアプローチはユーザーの本質的要求から開始していく。
具体的なものやWebサイトではなくて、ユーザーにサービスを与えるという視点。
まずサービスを考えて、それから必要なものを考える。
ユーザーの本質的要求からシステム仕様までを一貫して表現する。難しいけど、そこをつなぐ手法でありたい。
それと異分野の専門家同士をコラボレーションの促進。アメリカ人は新しいものを発想しようと思ったら異文化の人が必要だと考えている。日本でも技術者、マーケティングなど、いろんな専門家のコラボが必要。
そして上位のレベルから常にユーザーに聞く
人間中心設計に基づく

「上司に話をしてほしい」っていう依頼がいっぱいあるけど、そういう人は話しても。。。ダメかな

ビジョン提案手法のフレームワーク。
今日はこれを頭の中にいれれば、わかったも同然。
(1)プロジェクトの目標以下は上はユーザーへの価値、下はビジネス
構造化シナリオ手法でやる。シナリオはいい点がいくつかある。シナリオはものと人間の関係を記述できる。仕様書はもののことしか書いてない。シナリオはものと人間、そしてビジネスのことも書いてあったりするので全体をつかみやすい。日本語で書いてあれば誰が読んでもだいたいわかる。専門的な用語で仕様書を書くと専門分野の人しか理解できない。それは最後には必要だけど、コラボレーションを促進するためには共通言語の1つとしてシナリオを捉える。シナリオであれば異分野の人でも理解しあえる。だからシナリオに着目している。
「シナリオ ベースト デザイン」を勉強している人がメンバーにいる。
シナリオを三段階にかき分けるのがこの本のポイント。
例えば、さっきの目覚まし時計。
どうやって操作するのかはインタラクション
どういうことをするのかは目覚まし時計の行動
上位の概念にたてば新しい発想がでてくる。
ユーザーの価値、行動ときて操作になる。インタラクションとアクティビティは違いがはっきりしている。
インタラクションはモノがはっきりしている。アクティビティははっきりしていない。インタラクションになったとたんにモノが決まるから操作が入ってくる。

このフレームワークを順番に説明します。
・目標
目標設定のほとんどがビジネスやモノのことを語っていることが多い。
ユーザーがどう使うかが入っていないことが多い。
また、企業が抱えている製品のことしか書いていない。3年後はどうなるか?それは戦略部門が考えることだ。みたいな。
そういうやり方では新しいことをやるのが難しい。
新しいことには投資が必要。単体のプロジェクトでは回収できない。だから目標設定を高くすることが必要。
たとえばアップルはピンチをみんなに慣れさせた。慣れてくるとカーナビの地図とかでもやりたくなってくる。そういうものに慣れさせることを戦略的にやっている。
OSも変わってきてる。iPadとMacなども徐々に近づけている。
なのに日本のメーカーは半年後、一年後どうしよう?しかやっていない。
ユーザーが慣れていくことを踏まえたデザインとはぜんぜん違う。
目標設定を高く持つことが大事。

目標を設定した後にユーザーの理解。
潜在ニーズをとらえることが大事。
例えば、フォトエッセイとか行動観察っていう手法がある。
フォトダイアリーとフォトエッセイから潜在ニーズを探したりする。
たとえば潜在ニーズの前に、ユーザーにどういうことがあったのかを書いていく。
これってユーザーはどういう購読目標をもっているのか。
そこからユーザーの本質的な要求を分析したりする。(KA法)
ビジネスの提供方針を考える際に、企業の環境なども考える。
その両方があって、ユーザーを設定していく。
ここで大事なのはステークホルダーもみていく。
これまでのHCDとかは使う人を中心にみていたけど、ステークホルダーも観る必要がある。
ステークホルダーの優先度の決定。
例えば、IBMのPCの半分以上はB2Bで売れていた。
だからペプシコーラみたいな大会社の購入決定者もペルソナにしていた。
ビジネスに決定を与える人もペルソナとして捉える。
BMキャンバスはビジネスの状況を掴むには良い手法。
現状のビジネスと将来のビジネス、ユーザーの視点から新しいビジョンが見えてくる。

構造化シナリオはこの手法の特徴
3つの階層に分けて考える
バリュー階層:価値を扱う(WHY)
アクティビティ階層:活動を扱う(WHAT)
インタラクション階層:操作を扱う(HOW)
非常に大雑把に言うと、WHY、WHAT、HOW

各シナリオの特徴
どういった価値があるかをバリューシナリオにする。ビジネスモデルにしても図なので読めない。
この段階では魅力や新規性がポイント。
次はアクティビティ。有用性、役に立つのか。
インタラクション。何で解決するのか?を決めていく。使いやすのは当然で効率性も大事。
そして企画提案書に落としこむという流れになる。
3つのシナリをそれぞれに役割がある。
目先のことだけだったら、インタラクションシナリオだけでも良かった。
一番上に戻ったほうが、新しいものを作ったり、チェンジビジネスができたりするけど、当然、手間はかかる。実際のイメージとしては戦略的にやるときに上までやる。日々のプロジェクトであれば下だけ。とか。使い勝手の改善だけならインタラクションだけでいいし、他のデバイスも入るならアクティビティまで入るかもしれない。

バリューシナリオ
ユーザーに取っての本質的要求、ビジネス提供者による提供方針。新しい市場を狙いたいんだとか。どういう戦略なのか。

アクティビティシナリオはユーザーの活動を書いていく。バリューシナリオの1シーン。
ユーザー情報とシーン情報

インタラクションシステムは具体的に対象物を決める。
具体的なモノ、操作を書いていく。

構造シナリオの特徴は三段階に分ける、階層化してそれぞれのレイヤーで考えていく。
シナリオを評価する方法もある。
ちゃんとしたWebサイトがないとちゃんとしたユーザー評価できないと思われていたけど、本当にユーザーにとって価値があるかどうかはシナリオの段階でだいたい掴める。

ユーザーの評価はイラストでもできる。写真で視覚化、ペーパープロトタイピング、アクティングアウトもある。

ビジネス側面をインフォメーショングラフィックスでわかりやすくるのもある。

評価はユーザーの視点とビジネスの視点。

ユーザー側面の評価。代表的なのは魅力性、新規性、有効性、効率性がある。
魅力性と新規性は満足度にかかわってくる。有効性はつかえるかどうか。効率性は期待する時間内でできるか、というはなし
これらは段階によって評価内容を変えていく。
いままで:新規プロジェクトで初期段階でユーザビリティ評価。具体的なものもないのにやっても仕方ない。

ビジネスの視点からの評価。戦略性、事業性、市場性、実現可能性、社会性とある。
これまでは事業性、実現可能性を中心に評価してきたと思うけど、最初に戦略性を評価していかないといけないし、場合によっては社会性も考えなければいけない。
経営戦略や事業戦略にあっているか、ブランドビジョンと合っているか。
操作する段階になって実現可能性を評価する。

企画提案書
スペックを書くよりも、どういう価値をユーザーに提供するのかをしっかり書くこと。

ここで一旦休憩

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Q&A

(Q)mixiの方より。ユーザーの本質的な価値を見つけてそこからデザインをするっていうのを続けているけど、それが顧客などに信用されないときはどうすれば。
(A)本質的な価値が当たるかどうかは難しい。バリューシナリオを書いて、シナリオ共感度で測っていくのが唯一できることだと思う。
シナリオを書くことはそんなにお金かからないのに、いろいろ書いてみてそれを評価してみるっていうのもアリだと思う。
価値分析をやってみる。仮説を立てる。
結局は新しいものをつくるのは砂金採りといっしょ。1回で当たるわけない。数うたないとダメ。早く穴を掘って有るか無いかを確かめていく。これまでの日本の企業はずーと深掘っていってをやっていたけど、新しいものはどこにそのネタがあるかはわからないので、できるだけ簡単なもので聞くっていうのが作り易い。
バリューシナリオを30コ書いてみてインタビューにかけて。それだけ数をだせば偏ったものもでてくる。発送の転換がおきる。そういうの大事。

(Q)NaviTimeの人。今日、お聞きしたプロセスはシステム開発だとWFに近いと思うのだけど、最近ではリーンUXやリーンスタートアップなどがある。それらと比較してどう思うか?
(A)アジャイルの考え方はクイックに作ってクイックに評価するのが本質。むしろExperience Vison は近い。バリューシナリオ、アクティビティシナリオ、インタラクションシナリオをクイックにやってもいい。
リーンスタートアップの考え方と近いのはビジネスの成立をちゃんと考えてるところだと思う。早い段階からビジネス的な価値があるかどうかを見ているのはリーンスタートアップの価値だと思う。この本にも早い段階でビジネスの価値を見ていくという点では近いと思う。
今日はそんなに解説してないけど、いかにクイックにやっていくかが大事。Sketching User Experienceという本がある。アイデアが行けてるかどうか。Experience Vison ではプロトタイピングで統一しちゃったんだけど、スケッチとプロトタイピングは違う。スケッチは探索的な視覚化、プロトタイピングは検証的な視覚化。スケッチングはすぐにできることをやる。
砂金採りでどんどん確かめるとき、クイック&ダーティでもいいからスケッチングをしていく。
ビジネスで新しいアイデアを確かめるときはイベント。新しいサービスがユーザーにとって嬉しいものかどうかはそういうのでスケッチングしてみてビジネス的な可能性をさぐってみる。
もっと柔らかくどんどんやってみたら検証がいっぱいできるので新しい可能性がみつけだせるのではないかと思います。


(Q)アクティングアウトの使い方は?
(A)いちばん単純なのは設計者が自分で演じてみる。そのレベルはいろいろあるとおもう。
話がそれるけど、いま自動車会社の人と仕事をしている。Googleが自動運転の車をサンフランシスコで走らせている。プロトタイピングをしている。日本は法律上絶対できない。iRobotもろうそくたおしたり、、、とかあってできなかった。日本人の潔癖さが新しいものをつくることを妨げているかもしれない。Googleはどんどんノウハウを溜め込んでいると思う。
やはりクイック&ダーティにやっていくことの大事さを感じている。

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まとめ。papandaさんより。
今日は山崎先生にお願いしてきてもらいました。
まさか持っていない人はいないと思いますが、みなさん、Experience Vison を買って帰りましょう。

次回予告。
10/9にSIエンジニアの自分戦略をやります。
増員も考えているので是非エントリーしてみてください。

2012年9月21日金曜日

[DevLOVE][LeanStartup]DevLOVEのLeanStartupNightに参加しました


いまやってた「DevLOVE LeanStartupNight」に参加してひたすらメモをとったのでとりあえずアップします。編集責任とかそういうのは勘弁してください。写真は貼り付けるの面倒なのでまたそのうち。

日時:2012/09/21
発表者:和波さん

内容
アイディアを事業に進化させる企業のサイエンス"Lean Startup"

リーンスタートアップは新規事業の話。開発に直接関わるっていうわけでもない。
「リーンスタートアップ」は読んだけど、他の人に説明が可能なほど理解ができているかというとそうでもないし、実践できるほど腹落ちしているわけでもない、というのが多い。

エリック・リース曰く2008年くらいから世界が大きく変わり始めている。
今、ソフトウェアの世界は? 新規事業開発の世界は?

マーク・アンドリーセン。Mosaicブラウザの立ち上げに関わった人
「ソフトウェアが世界を飲み込んでいる」Software is eating the World

人が働いてやっていたことをソフトウェアがどんどん置き換えていく。
例えばCDショップなどは数が減りつつある。それと出版業界。紙の書籍・雑誌がどれくらい残るかはわからない。
インターネットとソフトウェアは国境を簡単に超えてしまう
車もソフトウェアで性能が決まる。例えばテスラ。部品はすべてサプライヤーや他のメーカーから調達しているが、それらをソフトウェアで制御しテスラというブランドで売っている。
一昔前はDellが同じようにやっていた。部品の開発は行わない。アッセンブリする。
もしかしたら、既存の自動車メーカーがもっているアドバンテージはあっという間になくなってしまうかもしれない。

インターネット×ソフトウェアの組み合わせはものすごいスピードで拡散していく。
かつて、電話が各家庭に普及し、携帯電話が個人のもちものになりテレコミュニケーションのあり方をかえてしまった。
これからはスマートフォンに全てが移行していくと、世界中の人々がコンピュータを手にしながら生活をすることになる。インターネット×ソフトウェアがすべての人に普及する。アンドリーセンの予測では今後数年間で50億人の人がなんらかのコンピュータデバイスをもつと発表している。

いまは手紙がなくなりつつある。次はメール。支払いも端末へ移行していく。レジもiPadがあればできる。航空券も紙である必要がない。こういった産業をすべてソフトウェアが乗っ取ってしまった。
気づかないうちに、多くのことをソフトウェアが置き換えている。

淘汰された例。コダック。デジカメを発明したけど、フィルムに固執して上手くいかなくなった。

もしこういった変化に気づかないと、自分たちも飲み込まれてしまう。
次、どこの産業を飲み込んでいくのかは誰も予想ができない。迷走する台風のように全員が警戒するしかない。こういった状況はいずれ我々のところにもやってくる。この場合、きっちりとした計画をたてるというのでは対応できない。ポスト・イットくらいの簡単に管理する方が、変化へ対応しやすい。
今は、世界中のプレイヤーでオセロをやっているようなもの。プレイヤーは二人じゃない。誰かが角をとったら一気に状況が変わる。この変化に気づかないといけない。気づいたときに対応できる力が必要。

ソフトウェアの世界でもいろいろ変化している。最初にそろえるものは、HWはIBM、OSはWindows、DBはOracleといったようにイニシャルに1000万円くらいはザラにかけていた。今はオープンソースがあって0円でもできてしまう。能力さえあれば0円で起業ができれば、能力さえあれば子どもでも、親からもらった古いパソコンとかでなんとかなってしまう。


さて新規事業をやるとき、アンゾフの成長マトリクスをベースに経営者は考えていく。
ある製品をつかってターゲットとするマーケットに対してシェアをどんどん拡大していく。
あるいは、既存の市場だけど新しいものを売っていく場合。

右上の象限はまったくなにもない。最もリスクが高い。
既存の市場、既存の製品は市場がシュリンクしていく。その中で経営者はどうしていくのかを判断しなければならない。しかし既存の領域はどんどんソフトウェアが飲み込んでいく。
ソフトウェアが飲み込んでいく既存の象限で戦うのか、リスクの高いところで勝負するか。リスクの高いところはスピードの世界である。社内で承認なんかとっている間にライバルがあっという間に先にいってしまう。


リーンスタートアップはそういったことを書いている本。
実は新規事業を立ち上げるためのプロセスなどは一切書いていない。しかし、リーンスタートアップを組織が手に入れると、柔軟で走りながら判断できるようになる。状況が見えているから、走り続けることが可能になる。
新規事業のリスクを劇的に軽減される。
つまり、リーンスタートアップは何か? 私は、変化に対応する唯一のバイブルであると考えている。

いまこの瞬間に新規事業は数多く生まれている。
ソーシャルメディアと呼ばれているものだけでも無数にある。
ほとんどが生き残れない。
誰に向けてどういうサービスを作っているのかがフォーカスしていれば生き延びることができる。
新規事業を企画する人、開発をする人達がしっかりとしたビジョンをもっていれば、誰かの目にとまる。
最初から大势の人を相手にするのは無理。対象を絞る。その人がいろいろな人に薦めてくれるくらい気に入るものをつくる。

その姿を見出すまでピボットを繰り返していく。ピボットを繰り返しながら「Wow!」という強い反応があるまで探す。それでなければ当たっていない。アイデアを説明したときに顧客から「それはいつできるんだ? 自分たちが最初に使うにはいくら払えばいいんだ?」ぐらい言わせないと弱い。

The Point はアウトドアグッズなどを販売していたけどうまくいかなかった。ピボットしつづけてグルーポンになった

ピボットは素早く何回でもやる。
アントレプレナーはスタートした瞬間から砂時計との戦い。
お金、やる気、外部からのサポート。これらははじめた瞬間からスゴイ勢いで減っていく。お金とサポートは後から補充できるけど、やる気:モチベーションはそうはいかない。
何回のビジネスモデルを試すことができるかが勝負。
企業はアートではなくサイエンスマネジメントだ

リーンスタートアップを加速するTIPSを4つ。
1. 小さく始める
 Yahoo は最初、カテゴリーと検索窓ぐらいだった。
 初期のグルーポンは手作りのPDFがメールに添付されて送られていた。バックエンドのシステムなんかなかった。システムは後から作った。
 サービスを提供する上で完璧はいらない。それが必要になるときは圧倒的なスケーリングが必要なときぐらい。ラフな構想ができたらとにかくシンプルに。あとは走りながら考える。
人に頼るのはダメ。本人から変わること。

2. 繰り返す
 スポーツではルールがある。野球なら3つアウトでチェンジ。でも新規事業は砂時計が残っている限りは何回でもチャレンジできる。どんどんチャレンジしていい。3ヶ月に1回のサービスリリースでもはもったいない。
 ビジネスコンテストとかやっていいアイディアがでてくると、どうしても一発勝負をしたくなる。オプションがなくアドリブもきかない。そうすることでウォーターフォール化する。しかし、走り始めてしまえばウォーターフォールにはできなくなる。

3. 仮説から始める → タスクから始めない
 失敗の元凶は一発勝負の結果の先送り。一発勝負は不利な戦いになる。頭でわかっててもやってしまう。
 もっと悪いのはチェックリスト。埋まってくると成果がでている気がしてくるけど、なにもできていない。

4. 常識にとらわれない
 「新規事業を立ち上げろ!」という割には経営者や上司が新しいアイディアを理解できなかったりして、リスク回避してしまう。
 例えば、小学生が新規事業チームに入ってきたら、みなさん彼らのいうことは理解できないと思う。そういうときに小学生に対して「報告書をかけ」とかいうと、彼自身のアイディアの殺してしまう。
 こういうリーダーのもとでは竹弁当しかでてこない。無難なところどまり。

新規事業については、経営者にとってもノウハウはゼロである。これでは勝負ができない。
新規事業をするときはあたらしい「ものさし」を作ること。スタートアップは著しく不確実なところでやっていかなければならない。なので自分たちが前進しているか後退しているかがちゃんとわかるためのものさしを作ること。
ものさしは、進捗、将来性、貢献、新規性、チームワーク、スピードといったものがある。
自分たちなりの指標が必要。

タスク管理をやめて、仮説をどれくらい検証できているかで考える事。
(月に1回ログインした人をアクティブユーザーというのはダメ)

※リーンスタートアップ前後




「マーケットはでかいのか?」「計画をしっかりたてろ」ではなく、柔軟な組織になること。

// 以上で前半終了

// ここから後半

「いかにして私はリーンスタートアップにたどり着いたか」

僕も前はエンジニアだった。VBとかでプログラムを書いてて、キーボードにこだわりがあった。
とてもデスマーチなかんじで肉親の死に目に会えないこともあった。
あるとき上流工程の人があつまる会議があって参加してみたら、その人達は答えをだそうとしているようには見えなかった。こんな会議から落ちてきた仕様をもとに作っていたらダメだと思った。
だから自分で上流へいくしかないと思った。
その中でSEよりも上へと思ったら、シックスシグマ、ISO、CMMI、ITIL、PMPとかの資格もとった。
源流にたどり着いてプロジェクトを立ち上げる立場になったときに、いろんな矛盾に気がついた。

僕が思った矛盾の原因は請負契約だと思った。
発注者はとにかくたくさん入れろ、早くつくれ、安くやれ、良いものつくれ、後からいれさせろ、になってしまう。そうすると業者は召使になってしまう。
受注者もなるべく安く、必要最低限の品質で、急がず、長引かずとしたい。仕変はすべて追加料金。粗利のビジネスをやっているだけ。
受発注の間には高い壁が存在していて、相容れことはありえないと思った。
僕は、最後はとにかく安く〜やるPMとして完璧にやっていた。しかしブラックでパワハラなPMだった。そして会社を辞めた。

その時、アジャイル的に、反復でやることもあったけど、メソドロジーの問題ではないと思った。
Before Launch vs After Launch の構造。
やはり発注者、受注者は同一化していかないと無理だと思った。けど内製すればいいかというと事業部門と情シスってだいたい上手くいっていない。
であれば経営者が作れたらいいな、とおもったらスタートアップにたどり着いた
その中でであったのが「アントレプレナーの教科書」。そしてリーンスタートアップ。良い本あるなと思ったらアメリカではもうカンファレンスをやっていた。カンファレンスということは事例があるということ。日本が遅れてると思って猛烈にブログを書きまくった。

リーンとアジャイルは何が違うのか。
アジャイルでは価値:サービスインまででそこからのことを言っている人は少ない。
満たすのは要求事項
ユーザーストーリーやテストで駆動する

リーンはローンチ後が重要。満たすのは要求事項
マーケットのニーズを満たす
仮説駆動
MVPオンリー
ROIの最大化が重要

現実として日本のスタートアップはどうなのか? →滝に打たれている。一所懸命、ガントチャート引いてウォーターフォールをやっている。
これが日本の現状。

//ここからQ&A

改善にリーンを適用していくのは上手くいかないのでは?
仮説をまわして、、、てできるのかな?

「ものさしは、進捗、将来性、貢献、新規性、チームワーク、スピードといったものがある。」
たとえばどんな感じ?
ビジネスに成立するのに近いづいてるかどうか?

(Q)お客さんがSIerだったりするトレーニングをやっているものです。リーンスタートアップの研修を導入したいけど、それは可能でしょうか? 受講者にリーンスタートアップの考え方を受けれてもらえるのかが不安です。

(A)いろんなところから講演のご依頼をいただいたりしている。この間は琉球大学の産学官の取り組みで呼ばれた。
 →和波さんを呼ぶで解決

(Q)いまHWのベンチャーをやっていてソフトウェアの大事さも分かっているけどHWも大事。リーンスタートアップだととりあえず作って売ってみようとなり、ソフトウェアだとできるけどハードウェアだと資金も限られていると難しい。どうしたらいいか?

(A)HWについてのリーンスタートアップの質問はよく受ける。僕はHWとSWの対比は関係ないと思う。マーケットに提供するバリューが問題。例えばiPhoneはどちらかに依存しているわけではない。

(Q)追加質問。今から10年前にiPhoneを思いついたとしたら、リーンスタートアップだったらどうしたらAppleより先にやるにはどうしたらいいか?

(A)2007年のiPhone公開のとき、オリジンがiPod。iPodで仮説検証がだいぶできていたと思う。そして日本でもau等がやっていて市場はあった。
 もし設計をするならHWを最初にやるのではなくて、UXを先にやっているはず。その仮説の元にどれだけ安くできるか、ができればいいだけ。
 マテリアルに縛られない。サービスはバリューに着目する。

(Q)ミツエーリンクス金山さんより。UXは大事だと思う。自分も仕事をしていて受発注者でやっているとユーザーが置き去りになることが多い。それをしっかり考えるのがリーンUXだと思う。
 どうしたらUXの大切さを伝えられるか? 違う言葉で、リーンスタートアップの中で、とか何かあれば。

(A)UXデザイナーという人は増えてきていると思うけど、会社によってもやっていることはバラバラだと思う。日本の会社でUXデザイナーやっている人で、サービスやプロダクトのコンセプトや方針に権限をもっている人を見たことがない。これが問題だと思う。やっていたらコンセプトを変える必要が絶対発生する。

(Q)欧米のUXのカンファレンスに行ったりすると、会社の中の重要なポジションにUX担当がいたりする。
(A)執行役員レベルでUXやっている人がでてこないと本当の価値はだせないと思う。

(Q)プログラマーより。アジャイルとリーンの対比について。リーンは大きい概念な気がする。アジャイルカンファレンスに行ったときに、リーンのセッションが多かった。日本で実際にリーンスタートアップをやっていて価値をを出しているところはありますか?

(A)そういうのはメディアからもよく聞かれる。そもそも新規事業の成功の定義はそれぞれなので単純に成功しているとは言い切れないと思う。リーンが企業の文化として定着していればいずれ成功するとおもう。だしていいかは微妙なので後ほどw
 リーンとアジャイルの話。アジャイルの場合、サービスが始まってからのことを考えて働く人はチーム内にほとんどいない。リーンスタートアップは事業が成功するその日に向かってやっていこうぜ、というもの。いつどういう形でユーザーが使えるMVPをつくれるのか。それはサービスインを目指してやっている時点で、アジャイルであってもこれまでの開発であっても考え方がまったく違う。
 リーンスタートアップのMVPは実験の繰り返し。サービスしました、ローンチしましたと言っている時点でそれはリーンスタートアップとは言い切れない。

(Q)リクルート宮原さん。自分の会社やチームをリーンにしたい。最初に予算と納期がある時点で、アジャイルにはできてもリーンにはならない。
 そもそも事業と開発を分けている時点で負けている気がしている。効率的にやるためにアジャイルを採用するけど、リーンにはできない。その辺りに対して和波さんはどうやって行きたいか?

(A)そこが分離されている事自体が、最大の、超えなければならない壁だと思う。そこをどうやって超えるかというと経営者の理解を勝ち取ることだと思う。どうなったら理解を勝ち取れるのか? 報告を猶予してくれるのか、とか。。。そういうのができたのはSKIP(TISの社内プロジェクト)ぐらいしか知らない。
 プロジェクト化した段階で、それはもうリーンではなくなっている。アサインされたメンバーはプロジェクトが目的化するので終えることがゴールになってしまう。リーンは終わってはいけない。
 日本で1000コの開発プロジェクトがあったとして、きちんと成功するためのプロセスをふめば全部成功するとおもう。でもビジネスは違う。勝利者に与えられるパイは決まっている。

(Q)ぐるなび島川さん。サービスの価値を提供するユーザーと、それが収益の源泉に結びつかないことは多くあるとおもう。例えばFacebookは価値はユーザーにとどけているけど、お金を払っているのは広告出稿している企業。
 直接価値を提供する対象と、お金を払ってくれる人・組織、どちらに注力するべきか?

(A)B2B2Cのモデルだと、システムを買ってくれるのはBの人だけど、使ってくれるのはC。そういう関節的な収益モデルの事業はいっぱいある。だからといって新規事業が収益をあげることから離れることはないはず。であれば、それが何千万ユーザーを確保したら広告費をいくら設けられるかを真摯に追求するしかない。例えば1000万人ユーザーがいるけどアクティブユーザーが1万人で広告が全然つかなかったとする。そこから改善していくしかない。例えば6割がアクティブユーザーになったら十分な広告費がはいってくるだろう、という仮説をたててやっていくしかない。
 もしくはアクティブな1万人でも稼げるビジネスにピボットするしかない。

(Q)インタビューのやり方を考えている。英語の学習ソフトをつくろうとおもって東京駅にいってランダムにインタビューしてみた。2回目はMVPをつくって対象を男性ビジネスマンにしぼったり、3回目は女性にしてみたりした。
 ターゲットを作るときの仮説にはどういったものがありますか?

(A)今の質問のなかに仮説の立て方、事業のおこし方、インタビューの仕方と3つのトピックがあった。
 自分たちがターゲットを絞るとき、ビジネスマンというターゲットだとでかすぎる。何をしていてどういうことに不満をもっているか、まで絞らないとターゲットとして不適切です。僕らは今すぐにでもお金を払ってくれる人にリーチしたい。課題をベースにしてセグメントを切っていくのがいい。
 どうやってインタビューをするか。インタビューの最終的なクオリティはある公式でだせる。

 インタビューのクオリティ×インタビューシナリオ×インタビュアーが適切か

 短く限られた時間でセグメントが切られていないと難しくなる。

(Q)狭めることが重要だということはわかったけど、ペルソナをたてるまで行ったほうがいいのか?

(A)ペルソナを作る目的次第。どんな人にインタビューしたらいいのかな?というときにペルソナ書いてみるのは有効だと思う。それからプロモーション書けるときにペルソナ書くのも有効。

(Q)レベニューシェアみたいなものは難しいと思いますか?

(A)レベニューシェアが銀の弾丸になるかというとそうは思わない。あれは請負契約の一種でしかない。おそらく受託の会社は納品後の作業はやらないと思う。どんなに良いフィードバックがあったとしても。

(Q)リーンスタートアップとして関係があるかは微妙だけど、私たちは仮説を立てるのがヘタだと思う。和波さんは今回のセミナーのためにどういった仮説をたてましたか?

(A)セミナーは事業だと思っていないので仮説はたてない。出席した人の満足度が上がればいいなとは思う。それとターゲットも決めるけど、それ以上はしない。今回は受託で開発している人、アントレプレナーなどを対象としています。
 フィードバックは…、発注をしてくださいw


//クロージング:市谷さん

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次回はエクスペリエンス・ビジョンをやります。
その次は「SIエンジニアの自分戦略」

// MTI佐藤さん

遠方からこられた人もいるかと思います。きてくれてありがとうございます。
それと勉強会の会場としても提供しています。
MTIもアジャイルやスクラムというところからリーンにシフトしようと思っている。
最後に、僕は今日、結婚記念日でどういった仮説をたてれば無事帰れそうですか?

リーンスタートアップはフィードバックからの学びが重要なので、これまでの失敗例をいくつか押していただけると良いアドバイスができると思いますw