2013年10月25日金曜日

ワークショップをつくるワークショップ(承前)

 最近はありがたいもので、ビジネスモデルキャンバスのワークショップのご依頼をいただくことがちょくちょくあります。そういった場合、事前に参加者の傾向や、主催者の想いや目的などをお伺いしてからワークショップを組み立てます。ビジネスモデルキャンバスの説明資料のベースはありますが、参加者の傾向や開催の目的によって中身は毎回ガラガラと入れ換えていて、準備は楽にならない今日このごろです。

 言いたいことは準備が大変とかそういうことではなくて、1年半くらいいろいろな場所や条件でワークショップをやってみた結果、ワークショップって一体なんだろうか?という今現在の思うところを書いてみたいなと思います。

 ワークショップは基本的に、何か習得したい技術や手法があるから受けるのだと思います。つまり学習スタイルの一種です。学習のスタイルにはいろいろあって、

  • 読書のように活字を読んで知識を仕入れる方法、
  • 講演を聴いて知識を仕入れる方法、
  • 授業に参加して話を聴きつつ板書を写すことで知識の定着を強化する方法、
  • 研究対象にインタビューなどをして理解を深めていく方法、
  • 仮説と検証を繰り返すことで(実験なども)対象への理解を深めていく方法、
  • ワークショップのように実際に参加して疑似体験しながら学ぶ方法、
  • 先輩の言動を真似することで自分でもできるようにしていく方法

などがあります(他にもあると思いますが)。ワークショップは、実際に参加して手を動かしたり発言をすることで対象となる何かを疑似体験して、自分の知識にしていくものです。ロールプレイングでもあるわけです。

 ワークショップの良いところは、ひと通り型にあてはめてだいたい誰でも一連の流れを体験できることだと思います。サポートを受けながらも一応、最初から最後まで自分達でできたという経験ができるわけです。これは座学で得る知識と違って実践から得られるものがあるので記憶に強く残ります。
 それと、ロールプレイングとは言えやってみるわけですから、やってみた上での気付きもあります。ファシリテーターはあえて失敗をさせることで、参加者がより多くの気づきを得ることができるように誘導することもやりやすいです。
 そして最大のメリットは、体験をした上で気付きを得られる割には極めて短時間で済むところです。私が行うビジネスモデルキャンバスを用いた新規事業創出のワークショップは3〜4時間程度で設計されています。このワークショップで扱うトピックを全て読書や授業などで習得しようとしたら1ヶ月くらいは必要になると思いますが、実際に「やってみた」なら前述の通りたったの3〜4時間です(※1 本当にやってみただけなら30分 ※2 ただし細かな背景や情報は漏れる ※3 対象について1ヶ月間まじめに考える方が理解が深いかもしれない)。

 昨年から何かにつけてちょいちょい引用している「ワーク・シフト」に連続的スペシャリストのエピソードがあって、これからは高度で専門的な技能を次々と習得し続けないとやっていけないという説が紹介されています。実際、私が所属している会社でも近いことは起きていて、1〜2年もすればやっている技術が変わるなんてザラにあります(むしろその対応力をお客様に評価されているからお仕事になっているのではないかと思う)。こういう次々と登場する新しい技術や手法を仕事で用いようとおもった時、チームでワークショップをやってみるのは極めて有効ではないかと思います。しかし新しい技術や手法のワークショップが都合よく世間に存在しているというのは稀なのではないでしょうか。もしくはあったとしてもそれなりに予算がかかってしまう。トレーニングや研修も同様ですね。
 しかし、組織やチームの中で、その技術や手法に着目する人って自分で調べて独学でなんとか習得しかけていることって多くないでしょうか? 仕事で実践したことはないけど、だいたいどんなものかはわかっている。そういう人がいるのであれば、ワークショップを自分達で作ってしまえば良いのだと思います。そしてワークショップを通じたロールプレイングから実践した気付きを共有し、実際の仕事(本番)に備える。こうすることで、関係者の間で全体の流れ、考え方、用語のちょっとした使い方など認識が一致するし、あえて失敗を組み込むことで危険な兆候を早く察知できるようになるかもしれません。なんとなくですが、かかるコストに対して得られるメリットの方が大きいような気がします。
 ただしこれには課題があって、結局、ワークショップの作り方そのものを習得する必要があります。そして作るだけならなんとなーくでできると思いますが、効果的なワークショップを設計・実践できるかというと、それにはそれなりのスキルがいるような気がします。
 私はこれまで、2つのワークショップを作りました。プレゼン(LT)とビジネスモデルキャンバスです(それらから開催するごとに細かくカスタマイズしてるので亜種は大量にありますが)。2つとも「明日からすぐ実践できる」ことを必須条件に設計しており、ある程度はそれが達成できているのではないかと思います。そこで、ワークショップの作り方をまとめて、誰でも(は言い過ぎっぽいけど)再現できるような何かにまとめたいなあと思っていたりします。とりあえず目指す完成形は「ワークショップをつくるためのワークショップ」です(すでにあるかもね)。
 たぶん手探りしつつ迷走すること間違いなしですが、なんとなくこれは時間を労力をかけてやる価値のあることなんじゃないかと思っている今日この頃です。




多分ね。


2013年10月17日木曜日

ポール・グレアムの質問(「Yコンビネーター」より)

書籍「Yコンビネーター」のあとがきに、ポール・グレアムがスタートアップのビジネスモデルをレビューする際にこんな質問をするよー、というのが紹介されています。


  1. 新しいユーザーがこのプロダクトを使ってみようと思う理由は?
  2. 一番怖いと思うライバルは?
  3. きみたちがチームとして集まった理由は?
  4. ボスは誰?
  5. これまでで一番自慢になるきみの業績は?
  6. きみの今までの最大の失敗は?
  7. 既存のプロダクトとの違いを正確に言うと?
  8. プロダクトがどういう仕組なのか、もっと詳しく説明すると?
  9. ユーザーが使うのをためらう理由は?
  10. このプロダクトは次にどう発展させていきたい?
  11. 新しいユーザーはどこから来る?
  12. 6ヶ月後に直面しているであろう一番大きな問題は?
  13. 今までほかの人がこれをやらなかった理由は?
  14. ユーザーからの希望で一番多いものは?
  15. コンバージョン率は?


なかなかのタフクエスチョン…(汗)

最近、個人的には
「きみたちのプロダクト/サービスのユーザビリティがひどい出来だとして、それでもユーザーが使おうと思う理由は何か?」
っていうのも聞いたら(考えたら)いいんじゃないかと思う次第です。