2012年9月27日木曜日

#DevLove #Experience_Vision に行ってきたのでメモ


あとでまとめるとか絶対しないからとりあえずメモをアップしますー。

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@papandaさんより本日のコンセプト説明
今日で93回目。
最初の1時間で山崎先生から説明
次の30分で参加者同士のダイアローグ
最後の30分でQ&A

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Experience Vison のはじめかた
山崎和彦さん

最初に10分間くらいで全体像と事例の話。
それから50分で講義形式で、本の代表的なところをかいつまんで説明。
最後に、みなさんがこれからワークショップをする上でどんな方向性があるかといった話をします。

山崎先生の自己紹介。
クリナップからIBMへ移った。その時、ソフトウェアのインターフェースなどをつくっていてそのころからUXなどをやっていた。所属していた事業部がレノボに買収されてそれからコンサルティングをやっていた。今は千葉工業大学で仕事をしている。
IBM時代、アメリカの人と話すと彼らは夜、勉強をしているとのこと。大学の単位を少しずつ取って、5年かけてMBAを取ったりとか。それで刺激を受けて、神戸芸術工科大学と東京大学の博士課程に通って論理的なことを学んだ。会社では実践。
Product、空間デザイン、Web、UIデザイン、グラフィックデザインなどもやっている。
UCD、UXの観点で世の中のいろいろなものを今までとは違った視点で捉えてデザインをする活動をしてきた。
やり方をまとめることも大事かと思い、書籍執筆もやっている。
「使いやすさのためのデザイン」
「情報デザインの教室」
「PRODUCT DESIGN」
学校に行っても教え方がバラバラだったりした。そこで、体系的で教科書になるものを作った。
こういうのは世界中でもあまりない。
自分たちの活動を本として出版することでみんなに使ってもらえる、少しは社会の役に立ったかな(美味しくビールがのめる)と思っている。

Experience Vison は5年かけて作った本。
デザイン事務所、リコー、学校の先生などで一緒につくった。
何故、5年かかったかというと、実際の合宿でワークショップなどをしていて時間がかかった。
それと良い手法があったらどんどんとりいれることにした。あるものはそのまま使う。ないものをは作る。
ただしペルソナもストーリーテリングもそれを書いた人達はそれで世の中の問題がなんでも解決するような書き方をしている。それは無理があるので、いろんな手法を上手く使いこなすような本がなかったのでそのようにした。

目の前の課題、お客さんのクレーム、企画部門の要求など、日々いそがしく開発をしているけれど、その前にもうちょっと遠くをみて、本当にユーザーに取って大切なことは何か、戦略を立てるとか、そういうことがこの本の主旨。
もともと日本人は優秀で、車の設計などをすると品質のいいものが作れたりする。Webサイトでも欧米の人がこまかいところにいきとどいていないのに日本人は上手くできたりする。アメリカ人はよくゲームチェンジという。日本人と同じ土俵では戦わない。安く効率的なところに負けてしまう。だからゲームチェンジをして戦う。もしくはゲームのルールを自分たちで作ってしまう。だからこそ、目の前の問題だけじゃなくて、長期的なところを観る。

ユーザーのニーズがあったら、それを問題解決する。そういうプロジェクトも必要だけど、新しいものを作るとか、これまでにないところで勝負するとなると、もう一度、ユーザーに取って本質的に何が必要なのかを考え提案することが必要だと思い、この本に書いた。

図.イノベーションの度合い、プロセスの時間軸
直接的な解決とはちょっと違って、これまでにない、他社と同列ではないものをしようとしたらそういう目標設定をして、ユーザーの本質的な課題をみつけだして、バリューシナリオ、ユーザーに取っての価値を書きだす。いったんビジョンを考える。

人間中心設計のもとづくビジョンなどは、これまではユーザビリティが中心でユーザーのニーズに対してアプローチしていたけど、これからはユーザーの価値に基づいてDESIGNをする。

例えば、目覚まし時計をデザインしようとすると、これまで見てきたものから発想してしまう。
そうではなく、気持よく朝起きられるものをデザインしようとなると変わる。例えばスマフォにかわいい女の子の声で「おきなさい」といってもらえるとか。
ぜんぜん違う発想、チェンジゲーム。
これまでのものから発送すると、安く作るとかそういうところでの勝負になる。

視点は2つあって、ユーザーの視点とビジネスの視点から考えようというのが、この本のアプローチです。
これまでの本ではそこが分かれていた。ビジネス自体も並行して考えていく。
プロジェクトの目標をたててユーザーへのインタビューなどから本質的な価値を探す。考える。
それと並行してビジネスを戦略的に考える。両方を睨みながらだんだん具体的にしていく。

この本に書かれていることを実際にやってみようとなったとき、テンプレートがあった方が始めやすいと思ってテンプレートをダウンロードできるようにしてある。無料で。本を買わなくてもダウンロードできる。
それを使ってワークショップができる仕組みになっている。
どんなテンプレートがあるか。
たとえばプロジェクトの目標設定のテンプレート。多くの場合、これが曖昧だったり、低レベルの目標設定をすることで新しいアイデアとかが埋もれることもある。
ビジネスの提供方針。
ユーザーの本質的要求。
そこからユーザーのペルソナのようなものをつくっていく
そこからだんだん具体化していく流れ。

最近、全体像が大きくなりすぎて最初から最後まで全部やるのは時間がかかるので、全体像をつかめるテンプレートを作った。BMGのキャンバスを気に入っていて、全体像が掴めるものを作った。出版する一ヶ月前にできた。これのワークショップはまだ一回しかやってないけど良さそうだと思っている。
最初に全体像を掴むのが良いのかなと思っている。

この本には具体的な事例が入っている。
富士通の携帯電話。
ASUSのパソコンのデザイン。台湾にはシナリオラボというデザイン事務所がある。
富士通のパソコンのアプリケーションに使った事例
Webサイト、バイオ系のベンチャー
情報セキュリティのトレーニングシステムの開発
新しいジーンズの開発
神奈川大学

あとワークショップでもいろいろやっている。例えば、チョコレートを使って新しいビジネスを作るとか。
SUICAのようなものをつかったサービスの考案とか
電子コミックのスマートフォンアプリとか

実際にこの手法をつかった事例がいっぱいのっていて、そこからヒントが得られると思う。


この本では、人間中心設計とかは変わらないけど、デザイン思考とかイノベーションとかって何だろうというのはある。イノベーションを起こすのに役立つことを考えている。サービスの開発っていうのも背景にはいっている。
ユーザーの本質的な価値、望む体験・経験を提供すること。これがExperience Vison の考え方。

僕らはこの本をエビ本と呼んでいて、略すとエビじゃん、これは笑ってほしいポイント。
エビっていうのを流行らせようと思っている。

人間中心設計は日本ではユーザビリティの考え方が強かった。
欧米ではHCDの考え方をイノベーションに使っていくっていうのがけっこうある。
問題解決型デザインと提案型デザインの2つがある。
これまでの問題解決型はこれまでの人間中心設計の本にいっぱい書いてある。
Experience Vison では提案型に特化している。
提案型は潜在的なニーズに入り込んでいって魅力的な価値を創出する。

提案型デザインアプローチにもいろいろある。
ダイソンのとか。種類は
・市場分析を中心とした。。。
・経験や完成から。。。
・人間を中心とした。。。
この本では人間を中心としたビジョン提案型デザイン手法ということになる。

基本的なアプローチはユーザーの本質的要求から開始していく。
具体的なものやWebサイトではなくて、ユーザーにサービスを与えるという視点。
まずサービスを考えて、それから必要なものを考える。
ユーザーの本質的要求からシステム仕様までを一貫して表現する。難しいけど、そこをつなぐ手法でありたい。
それと異分野の専門家同士をコラボレーションの促進。アメリカ人は新しいものを発想しようと思ったら異文化の人が必要だと考えている。日本でも技術者、マーケティングなど、いろんな専門家のコラボが必要。
そして上位のレベルから常にユーザーに聞く
人間中心設計に基づく

「上司に話をしてほしい」っていう依頼がいっぱいあるけど、そういう人は話しても。。。ダメかな

ビジョン提案手法のフレームワーク。
今日はこれを頭の中にいれれば、わかったも同然。
(1)プロジェクトの目標以下は上はユーザーへの価値、下はビジネス
構造化シナリオ手法でやる。シナリオはいい点がいくつかある。シナリオはものと人間の関係を記述できる。仕様書はもののことしか書いてない。シナリオはものと人間、そしてビジネスのことも書いてあったりするので全体をつかみやすい。日本語で書いてあれば誰が読んでもだいたいわかる。専門的な用語で仕様書を書くと専門分野の人しか理解できない。それは最後には必要だけど、コラボレーションを促進するためには共通言語の1つとしてシナリオを捉える。シナリオであれば異分野の人でも理解しあえる。だからシナリオに着目している。
「シナリオ ベースト デザイン」を勉強している人がメンバーにいる。
シナリオを三段階にかき分けるのがこの本のポイント。
例えば、さっきの目覚まし時計。
どうやって操作するのかはインタラクション
どういうことをするのかは目覚まし時計の行動
上位の概念にたてば新しい発想がでてくる。
ユーザーの価値、行動ときて操作になる。インタラクションとアクティビティは違いがはっきりしている。
インタラクションはモノがはっきりしている。アクティビティははっきりしていない。インタラクションになったとたんにモノが決まるから操作が入ってくる。

このフレームワークを順番に説明します。
・目標
目標設定のほとんどがビジネスやモノのことを語っていることが多い。
ユーザーがどう使うかが入っていないことが多い。
また、企業が抱えている製品のことしか書いていない。3年後はどうなるか?それは戦略部門が考えることだ。みたいな。
そういうやり方では新しいことをやるのが難しい。
新しいことには投資が必要。単体のプロジェクトでは回収できない。だから目標設定を高くすることが必要。
たとえばアップルはピンチをみんなに慣れさせた。慣れてくるとカーナビの地図とかでもやりたくなってくる。そういうものに慣れさせることを戦略的にやっている。
OSも変わってきてる。iPadとMacなども徐々に近づけている。
なのに日本のメーカーは半年後、一年後どうしよう?しかやっていない。
ユーザーが慣れていくことを踏まえたデザインとはぜんぜん違う。
目標設定を高く持つことが大事。

目標を設定した後にユーザーの理解。
潜在ニーズをとらえることが大事。
例えば、フォトエッセイとか行動観察っていう手法がある。
フォトダイアリーとフォトエッセイから潜在ニーズを探したりする。
たとえば潜在ニーズの前に、ユーザーにどういうことがあったのかを書いていく。
これってユーザーはどういう購読目標をもっているのか。
そこからユーザーの本質的な要求を分析したりする。(KA法)
ビジネスの提供方針を考える際に、企業の環境なども考える。
その両方があって、ユーザーを設定していく。
ここで大事なのはステークホルダーもみていく。
これまでのHCDとかは使う人を中心にみていたけど、ステークホルダーも観る必要がある。
ステークホルダーの優先度の決定。
例えば、IBMのPCの半分以上はB2Bで売れていた。
だからペプシコーラみたいな大会社の購入決定者もペルソナにしていた。
ビジネスに決定を与える人もペルソナとして捉える。
BMキャンバスはビジネスの状況を掴むには良い手法。
現状のビジネスと将来のビジネス、ユーザーの視点から新しいビジョンが見えてくる。

構造化シナリオはこの手法の特徴
3つの階層に分けて考える
バリュー階層:価値を扱う(WHY)
アクティビティ階層:活動を扱う(WHAT)
インタラクション階層:操作を扱う(HOW)
非常に大雑把に言うと、WHY、WHAT、HOW

各シナリオの特徴
どういった価値があるかをバリューシナリオにする。ビジネスモデルにしても図なので読めない。
この段階では魅力や新規性がポイント。
次はアクティビティ。有用性、役に立つのか。
インタラクション。何で解決するのか?を決めていく。使いやすのは当然で効率性も大事。
そして企画提案書に落としこむという流れになる。
3つのシナリをそれぞれに役割がある。
目先のことだけだったら、インタラクションシナリオだけでも良かった。
一番上に戻ったほうが、新しいものを作ったり、チェンジビジネスができたりするけど、当然、手間はかかる。実際のイメージとしては戦略的にやるときに上までやる。日々のプロジェクトであれば下だけ。とか。使い勝手の改善だけならインタラクションだけでいいし、他のデバイスも入るならアクティビティまで入るかもしれない。

バリューシナリオ
ユーザーに取っての本質的要求、ビジネス提供者による提供方針。新しい市場を狙いたいんだとか。どういう戦略なのか。

アクティビティシナリオはユーザーの活動を書いていく。バリューシナリオの1シーン。
ユーザー情報とシーン情報

インタラクションシステムは具体的に対象物を決める。
具体的なモノ、操作を書いていく。

構造シナリオの特徴は三段階に分ける、階層化してそれぞれのレイヤーで考えていく。
シナリオを評価する方法もある。
ちゃんとしたWebサイトがないとちゃんとしたユーザー評価できないと思われていたけど、本当にユーザーにとって価値があるかどうかはシナリオの段階でだいたい掴める。

ユーザーの評価はイラストでもできる。写真で視覚化、ペーパープロトタイピング、アクティングアウトもある。

ビジネス側面をインフォメーショングラフィックスでわかりやすくるのもある。

評価はユーザーの視点とビジネスの視点。

ユーザー側面の評価。代表的なのは魅力性、新規性、有効性、効率性がある。
魅力性と新規性は満足度にかかわってくる。有効性はつかえるかどうか。効率性は期待する時間内でできるか、というはなし
これらは段階によって評価内容を変えていく。
いままで:新規プロジェクトで初期段階でユーザビリティ評価。具体的なものもないのにやっても仕方ない。

ビジネスの視点からの評価。戦略性、事業性、市場性、実現可能性、社会性とある。
これまでは事業性、実現可能性を中心に評価してきたと思うけど、最初に戦略性を評価していかないといけないし、場合によっては社会性も考えなければいけない。
経営戦略や事業戦略にあっているか、ブランドビジョンと合っているか。
操作する段階になって実現可能性を評価する。

企画提案書
スペックを書くよりも、どういう価値をユーザーに提供するのかをしっかり書くこと。

ここで一旦休憩

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Q&A

(Q)mixiの方より。ユーザーの本質的な価値を見つけてそこからデザインをするっていうのを続けているけど、それが顧客などに信用されないときはどうすれば。
(A)本質的な価値が当たるかどうかは難しい。バリューシナリオを書いて、シナリオ共感度で測っていくのが唯一できることだと思う。
シナリオを書くことはそんなにお金かからないのに、いろいろ書いてみてそれを評価してみるっていうのもアリだと思う。
価値分析をやってみる。仮説を立てる。
結局は新しいものをつくるのは砂金採りといっしょ。1回で当たるわけない。数うたないとダメ。早く穴を掘って有るか無いかを確かめていく。これまでの日本の企業はずーと深掘っていってをやっていたけど、新しいものはどこにそのネタがあるかはわからないので、できるだけ簡単なもので聞くっていうのが作り易い。
バリューシナリオを30コ書いてみてインタビューにかけて。それだけ数をだせば偏ったものもでてくる。発送の転換がおきる。そういうの大事。

(Q)NaviTimeの人。今日、お聞きしたプロセスはシステム開発だとWFに近いと思うのだけど、最近ではリーンUXやリーンスタートアップなどがある。それらと比較してどう思うか?
(A)アジャイルの考え方はクイックに作ってクイックに評価するのが本質。むしろExperience Vison は近い。バリューシナリオ、アクティビティシナリオ、インタラクションシナリオをクイックにやってもいい。
リーンスタートアップの考え方と近いのはビジネスの成立をちゃんと考えてるところだと思う。早い段階からビジネス的な価値があるかどうかを見ているのはリーンスタートアップの価値だと思う。この本にも早い段階でビジネスの価値を見ていくという点では近いと思う。
今日はそんなに解説してないけど、いかにクイックにやっていくかが大事。Sketching User Experienceという本がある。アイデアが行けてるかどうか。Experience Vison ではプロトタイピングで統一しちゃったんだけど、スケッチとプロトタイピングは違う。スケッチは探索的な視覚化、プロトタイピングは検証的な視覚化。スケッチングはすぐにできることをやる。
砂金採りでどんどん確かめるとき、クイック&ダーティでもいいからスケッチングをしていく。
ビジネスで新しいアイデアを確かめるときはイベント。新しいサービスがユーザーにとって嬉しいものかどうかはそういうのでスケッチングしてみてビジネス的な可能性をさぐってみる。
もっと柔らかくどんどんやってみたら検証がいっぱいできるので新しい可能性がみつけだせるのではないかと思います。


(Q)アクティングアウトの使い方は?
(A)いちばん単純なのは設計者が自分で演じてみる。そのレベルはいろいろあるとおもう。
話がそれるけど、いま自動車会社の人と仕事をしている。Googleが自動運転の車をサンフランシスコで走らせている。プロトタイピングをしている。日本は法律上絶対できない。iRobotもろうそくたおしたり、、、とかあってできなかった。日本人の潔癖さが新しいものをつくることを妨げているかもしれない。Googleはどんどんノウハウを溜め込んでいると思う。
やはりクイック&ダーティにやっていくことの大事さを感じている。

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まとめ。papandaさんより。
今日は山崎先生にお願いしてきてもらいました。
まさか持っていない人はいないと思いますが、みなさん、Experience Vison を買って帰りましょう。

次回予告。
10/9にSIエンジニアの自分戦略をやります。
増員も考えているので是非エントリーしてみてください。