2011年11月1日火曜日

レポートにまつわるエトセトラ

11月1日、私の書いた Adobe MAX のレポート記事が CodeZine に掲載されました。

【Adobe MAX 2011】Flashは死んでしまうのか?

なんであのセッションを選んだのかーとか、それをするにいたった背景などもこっちに書いておこうかと。
あのレポートを読んだ方はなんてくだけた記事なんだろうと思ったかもしれませんが、脱稿前はもっとくだけた記事だったのでした。あと翔泳社さんに送るにあたり、さすがにそれはまずかろうという箇所もカットしたので、そのあたりもこっちに載せておきます。

■背景
本来、この時間帯は"Flex, Ruby on Rails, and the Cloud"というセッションを受講する予定でした。Ruby って案件数がかなり増えてきたし、技術者に人気あるし、日経新聞あたりに「ツイッターはオープンソースソフトウェアのルビーでできている」云々と紹介されたりするわけで、今後、Flex + Ruby はかなり来るでしょう!と。それにクラウドなんて言ったらもう時代の寵児じゃないですか!と。「乗るしか無いだろこのビッグウェーブに!」なわけですよ。
しかし、Adobe MAX のプログラムは非情です。同じ時間帯に"Flex and EnterPrize Java"なんていう、RIAで受託で業務システム野郎なら是非とも聞いておきたいセッションとかぶっています。ある意味、Ruby vs Java。それなんてエロゲ踏み絵? 結構な時間をかけて悩んで出した結論は Ruby でした。まー、Java の方は一緒に行く他の人達が受講するよね、と。だから涙を飲んで Ruby なわけです。ビッグウェーブ乗らなきゃー!
それからしばらくして、MAX野郎のページ(http://www.adobe.com/jp/joc/max2011/team/)に私が受講する予定のセッションが載ったのですが、あれ? Flex, Ruby on Rails, and the Cloud"はリンク切れてるよ? 公式から姿を消してるよ? あれ中止? なにこれ?
運営側でどのようなドラマがあったかは存じませんが、とりあえず油を売るわけにも行かないので別のセッションを選びます。そうしたらふと目に止まった"The Death of Flash"。なんか「闇」に通じるものがあるじゃないですか。そんなわけでシンパシーを感じた私はこのセッションを選んだのでした。はあ、前置き長かった(笑)。

この相当キテいる"The Death of Flash"というネーミングですが、ここのところ続く「Flash\(^o^)/」なニュースに対するとても冷静なメッセージがあると思いました。私も思うんですけど、巷にあふれる「Flash\(^o^)/」ニュースのほとんどって「\(^o^)/」って言いたいだけなんじゃないかと思います。Adobe もちゃんと Flash テクノロジーに拘り続ける技術者に対してちゃんとロイヤリティがあるようにロードマップを描いているように思えるし(たとえゆるやかに HTML5 + Javascript の時代に推移していくのだとしても)。Adobe びいきコメントが多くてアレですが。各ブラウザベンダーさんは本当にデベロッパーとユーザーのことを思っているのかな。HTML5 + Javascript の世界はしんどいはずだし、デベロッパーのしんどいは確実にユーザーにも影響をもたらすからね。どうもこの辺りはモヤモヤしますな(識者による有効回答求む)。

実際、どんなセッションであったのかは「翔泳社さんの CodeZine 」をご覧いただくとして、セッションレポートであるがゆえに記事には書かなかったことを補足しますか。

・世間に流れる情報量の多さがモノゴトの正しさを決めるわけではない
Flash\(^o^)/ の情報、多いですよね。きっかけはやはりあの会社のあのガジェットに Flash なんか載せるもんか一昨日きやがれー!なあの発表が原因だったのだと思います。あの発表のインパクトって相当なもんで、IT業界で働いていても RIA とかかわりが少ない人は今でも「Flash って、iPhone じゃ動かないんでしょ(ダサッ)」な反応するわけです。「おい、ちょっと待てよ!」って言いたいですよね。動かないのは(サポートされない)Flash Player であって、Flash Builder および、Flash Professional で作られた Flash のアプリは iOS 端末上で動作するわけだし。でも、あの発表のインパクトに比べたらそんな情報は小さくて多くの人の耳にはいっていないのです。なんと残念。
しかしそれ以降、なぜか Flash を嫌う人達は語調を強めてもはやいいがかりに近い Flash 批判を展開するわけです。本当に「おい、ちょっと待てよ!」と言いたい。おまえら Flash の欠点ばっかり言うてるけど、代替技術はどれよ? それは Flash の欠点をカバーできてんのかよ? 本当に代替足りえるモノだと思ってんのかよ? と。
しかし人間というのは「多い情報」に流れちゃうものです。論理的に破綻をしていても、大量にばらまかれる情報は正しく見えちゃうものです。そしてビジネスやマーケティングに関わる人達はそれを知っています。しっかり調べ込んだ論理的で適切な解説をした記事より、間違っていてもキャッチーでライトな記事を大量にばらまく方が影響力が強いのです。

・最強のマーケティング戦略「ダサいと決め付ける」
自分たちの製品やサービスの良いところをアピールするよりも、競合について「ダサい」と思わせる方が効果があります。モラル的にどうかと思いますが。。。理由はなんでも良いのです。最終的に「ダサい」と思わせるようなところに帰結するだけ。この戦略は根拠がいい加減でも有効です。前述のキャッチーでライトな記事と組み合わせて大量にばらまけばいいだけだから。単純ですが破壊力は抜群です。おかげで Flash は「iPhone に対応できない時代遅れの技術」のレッテルを貼られました。これの被害者は Flash だけではありません。他にはガラケー(フィーチャーフォン)。改めて考えると、ガラケーの何が悪いんでしょう? 電池はちょーもちます。電波をキャッチするのも強いです。電話当然できます。メールできます。SMSは標準でついてます。インターネットもみられます。おサイフ機能ついてます。音楽も聴けます。たしかにGUI はダサいかもしれませんが、外観は個性があって(私はすきじゃないけど)機能的にも充分。ヘタすると電話ですらエラーで使えなくなるスマートフォンに比べてはるかに電話としての本分を全うしています。でも今後は減っていくのでしょう。なぜならダサいと決め付けられたから。キャリアもメーカーもガラケーをダサい存在にしてスマートフォンを売るほうがメリットがあるのでしょう。本当にそれでいいのかな?

・商売人の主張を真に受けるな
前述したようなやり方はビジネスやマーケティングに関わる人のやり方です。商売人の主張です(私もマーケティングやってますけど}。しかし、いくらなんでも事実無根だったり、あまりにも極端な主張を繰り返して技術のトレンドを操作していくっていうのは、技術に対して不誠実だと思います。技術っていうのはそれを作り出す人がいるわけです。つまり技術に対して不誠実なのは、人に対して不誠実であることと変わりません。自分たちが一所懸命つくった技術が不当に「ダサい」とかいう扱いをうけて市場から締め出されたらどんな気持ちになるか。そんな目にあったらちょっとたまらんですよね。
繰り返しますが、技術に対して不誠実な人は、人に対しても不誠実です。




多分ね。

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