「プレゼンテーションzenっぽいプレゼンのやり方が誰でも1時間くらいでわかった気になるワークショップ」というのをやってきました。
そこで話したこと、話きれなかったことを順を追って説明します。
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P1-P4 タイトル~注意
「プレゼンテーションzen」って言えばやっぱり画像を多く使って文字数を減らすっていうイメージがあると思うんです。そこでこのワークショップでは、メッセージとマッチする、メッセージを助けてくれる画像を探す作業を体験してもらうことにフォーカスしました。だから「プレゼンテーションzenっぽい」と表現したわけです。1時間であの本なりビデオなりの内容を全部喋ってワークショップまでやるのは無理です。
P5-P9 心得
このワークショップの説明で一番伝えたいことがこれですね。
大事なのは「しゃべり」と「しゃべるあなた」です。
(聴く人も大事ですが、理由を説明し出すと時間足らないから割愛)
オープニングのLTや、他のコミュニティのワークショップでもだいたい同じようなことをいっていた気がします。
(喋りながら聞き耳たててました)
P10- つくりかた あらすじ
SUCCESsは自分なりの例題を紹介したかったのですが、準備が間に合いませんでした。この時点でこのワークショップの説明はConcreteness:具体性に欠けているわけです(苦笑)。
この章では一枚の図を中心に話を組み立てています。
感情が先行して喋り出すと気持ちが空回りして伝わらず、情報を整理して順序立てて説明するとちゃんと伝わる、ということを視覚的にわかってほしくて描いてみました。
P21はクリティカル・シンキングで必ず登場するピラミッドストラクチャーです。分解の仕方はいろいろあるでしょうが、これも視覚情報重視。
P22は情報を取捨選択して順番を決めることを伝えたくて、麻雀パイの画像を貼り付けました。これは我ながら良い例えw。同じ麻雀パイでも役が付く付かない、点数が高い高くないの差があるってわかったら、ちゃんと考えますよね。人に何かを伝えるということはそういう面があると思います。
よく「スライドにはとにかく情報を詰め込む。その場の雰囲気をみて、喋る内容を選ぶ。」と言う方がいますが、これはプレゼンテーションに慣れている人だからできる芸当であって、慣れていない人には難易度が高すぎます。またスライドに情報を詰め込んだ結果、時間内で完了することが出来ないこともありますが、この場合、聴講者のほとんどは集中力が切れています。集中していない人に一所懸命に語りかけたところで何も伝わりません。アンコールみたいなもので、聴講者も得したと思うはず、と考えているなら勘違いです。ロックスターなみに熱狂をもって迎えられる講演者なんてほとんど存在しません。
時間内で伝えきること、そのためには情報を取捨選択し、適切な順番に並び替え、冗長な言い回しを避け簡潔な表現に直し、言葉より視覚的に訴えた方が伝わるのなら迷わず写真を探したり図を作成してください。これらを意識することでプレゼンテーションの完成度はぐっと上がるはずです。
P25- ターゲット
絞りすぎること、特定しすぎることで大事な何かがなくなったりします。曖昧ですが…。
P31- つくりかた 演出/スライド
スライドは演劇における舞台装置だし、戦いにおける武器だし、登山における杖みたいなものだと思います。喋る人の助けにはなるだろうけど、喋る人以上ではありません。たまに本人とスライドの主従逆転プレゼンを見かけることがあり、そういうときはなんとも言えない気持ちになります。私も以前は間違いなくそうでした。
そうは言っても、自分を助けてくれるものだし、演劇だったら舞台装置が豪華な方が演じていて気持ちが良いじゃないですか(多分)。だから、主従が逆転しない程度に、自分をより良く演出してくれる存在として、スライド作りに注力することも必要なのかと。
(↑テキストをベタっと貼った状態)
(↑リリース版。写真や図がかなり増えている)
実際の作業については百聞は一見にしかず、画像で見てもらうとわかりやすいですね。今回のワークショップのスライドの作業着手時と完成版の一覧表示を見てください。最初はテキストをベタ貼りです。これを少しずつ要約したり、画像に差し替えられるところは差し替えたりしています。
P42- 喜怒哀楽
実は映画やドラマのストーリーの多くは凡庸で冷めた目で見るとどれも似たようなパターンにはまるのですが、それらは主人公たちを理不尽な境遇に追いやったりして視聴者の共感を誘うことで凡庸ではなくなります。怒りと哀しみに訴えかけ同情を買うのです。
逆の場合は面白おかしくすることで笑いを誘ったり、特殊な演出によって爽快感を生み出します。これらが喜怒哀楽に振り幅を持たせる、ということです。
プレゼンテーションについても近いことが言えて、どれほど良い情報を聴講者に伝えたとしても、そこに喜怒哀楽の振り幅がなければ印象に残りません。下手をすると「つまらなかった」と言われかねないのです。
そこで喜怒哀楽に振り幅をもたせる仕掛け(演出)が必要になります。
とは言っても、プレゼンテーションの場であまりにも怒りや哀しみの感情に訴えかけるのはやりすぎな気もするので、さりげなく笑いをとりに行く方が良いです。
ただし狙って笑いをとるのは難しい。それには場数を踏んで、どういったネタが喜んでもらえるのかを感覚として掴んでいく必要があります。もちろん天性の才でどっかんどっかん笑いをとる人もいるでしょうが、自分もそうだと思わない方が身のためです。笑いを扱うにも技術がいるのです。だから「ネタは扱える分まで」と考えましょう。前後関係を考え、微妙と思われるタイミングであれば削る勇気を持ってください。
P49- ペース
プレゼンテーションの多くは制限時間内で終わりません。途中から急ぎでしゃべり始めるし、LTは時間が足らないことが度々あります(ドラ娘の出番です!)。時間内で終わらせる、ドラがなるどんぴしゃのタイミングで終わらせる、そのためにはペースを把握しましょう。
またじっくり説明するページに対して、ポンポンとめくってテンポを良くしていくページがあるのも効果的です。メリハリが効くことで、聴講者も飽きずに聴くことが出来ます。
P56- アニメーション
アニメーションやエフェクトは最小限にとどめる方が良いです。
様々な理由あります。
・まず動くものをスライドに出現させることで、聴講者の意識がそっちにいってしまう、肝心のしゃべりが伝わりづらくなる懸念。
・アニメーションは一定の時間が必要なので、ペースに影響する。その場に併せた臨機応変な対応に制約がかかる。
・スライド編集の難易度が上がる。
個人的にはアテンションで使う程度にとどめるのが上手いつきあい方だと思っていますが、世間にはグリグリに動かして楽しいプレゼンテーションをされる方もいらっしゃるので、必ずしもアニメーションをオフにしろとは言いません。
P63-P71 練習、手直し
多くの場合、私も含めてですが練習は嫌なものです。なんだか間抜けな感じがするし、途中で詰まったりして気分が良くありません。しかし、ここが大事です。練習ではたいてい詰まるのです。話慣れないことを喋るために体が(口が)付いてこなくて詰まること。しゃべりの内容に整合性が欠けていて自分で違和感を憶えて詰まること。これらは実際に声に出して練習することで気付くことが出来るし、本番でこういった問題に遭遇する確率をぐっと下げます。少なくとも1回、できることならスラスラと自然に喋れるようになるまで練習をしてください。やったかやってないかで結果は全然違います。
ここで注意ですが、業界を問わず、凄腕のスピーカーは「練習なんかしない」と言い切ってしまう人がいます。それはそれで構いませんが、人は人、自分は自分です。自分が最も上手くできるプロセスを模索してください。多くの人にとって、それが「練習なんかしない」になることは滅多にありません。「あのスティーブ・ジョブズでさえリハーサルをやっている」と思えば、人知れず練習をすることは恥ずかしいことでも何でもありません。貴重な時間を投資してくれている聴講者に対する礼儀です。
練習の段階でレビューを入れるか、入れないかは自由です。できれば入れた方が良いでしょう。しかしここにも落とし穴があって、よくわかっていないレビュアーが存在します。よくわかっていないレビュアーはそもそものコンセプトに否定的な意見を出し、講演者を混乱に陥れます。ですのでレビュアーは慎重に選んでください。もし適当な人が周りにいたいのであれば「ぼっち法」で乗り切ってください。
P72 伝えるためのプロセスを描いた図
練習以上のことは本番ではできません。実際は緊張と極限までの集中力が奇跡的なパフォーマンスを生み出すこともありますが、それは希です。
また図示したために段取りを追えばプレゼンテーションができそうな気がしますが、実際には卵と鶏みたいにあらゆる情報が錯綜し相互に関係し合います。手戻り作業は当たり前ですが、完成度を高めるためだと思ってがんばってください。
P73-P78 本番のコツ
なるべくリラックスし、自然な状態で語りかけるようなプレゼンテーションが理想的ですが、最初からそのようにできるとは限りません。カチカチになって喋る内容をわすれてしどろもどろすることもあります。私なんかは本当に酷くて、途中から声がでなくなったりしたこともあります。
何人か、場合によっては大勢の聴講者の前で緊張をするのは自然現象です。避けられません。ですから緊張すること自体は受け入れてください。そしてコントロールするように心掛けてください。
「照れ」や「恥ずかしい」といった感情もあります。ですが、これは打ち消してください。講演者が恥ずかしがっていると聴いている方はもっと恥ずかしいものです。そんな態度で披露したネタがスベったときにはもう!大惨事の始まりです。これを克服するのにもぼっち法は効果的です。是非、試してください。
そしてなるべく多くの本番を経験してください。ここで言う経験とは「人前で喋ること」です。
仕事、学校、地域コミュニティ、お子さんがいらっしゃれば保育園や学校の集まり、親戚の集まり…、飲み会の乾杯、いろいろあります。是非、積極的にそういった場を活用して喋ってください。たいていの場合、みんなはそういった勇気を持った人を受け入れてくれるし歓迎します。手を挙げた心意気に賞賛の拍手を送ってくれるでしょう。ただし話が長くなければです。ライトニングであることが大事ですね♪
P79- ワークショップ
このワークショップを企画したときは「KPT」について話してもらおうと考えていましたが、DiscoveryCoachさんとquindimさんからアドバイスをいただき、好きなものを説明してもらうに変更しました。これは大正解でした。お二人には本当に感謝です。
今回はあくまで「プレゼンテーションzenっぽい」プレゼンのやり方を体験してほしかったので、メッセージと画像を組み合わせる作業に特化しました。その楽しさがわかってもらうことが第一目標。実際にプレゼンテーションzenの本やDVDで説明されている内容はそれからで良いのかな、と。当日はワークショップに40分くらい使ったと思います。できれば1時間あると、お互いのプレゼンテーションに対する意見交換もできて良かったのですが、それはまたいずれどこかの会で。
P90-P95 画像を選ぶ
以前、DevLOVEのLTでやった闇アジャイラー(動画、スライド)のオチ画像で比較をしてみました。プレゼンテーションzenの本にでてくる比較画像だとあきらかに片方はありえんわ、というケースがほとんどなのですが(画像の使い方を説明しているので)、この4枚なら狙いによってはどれでもアリだと思います。個人のこだわりを前面にだしたければナウシカだし、キレイにまとめて良い話っぽくしたいなら木漏れ日です。しかしこの時はインパクトをとりました。タイミングもばっちりでしたし(マイクロソフト台湾がサイトリニューアルしたのはDevLOVE Energized Workの前々日くらい)。ちなみにあれから2ヶ月近く経った今でも「やっぱりキレイにまとめておくべきだったのではないか」と思うことがあります。
P96-P99 まとめ
・プレゼンテーション作りには段階があること。大切なのはしゃべり。
・伝わることが大事。どんなに良いこと言っても伝わらないなら意味がない。
・今日スベっても明日があるさ。迷わずスベれ。スベればわかるさ!
P100- おまけ
おまけにはtipsみたいな情報を書いておきました。時間がなくて説明できなくても、あとでスライドを見てもらえればだいたいわかるかなー、みたいな。
良いプレゼンにはここ最近見た中で印象に残ったものを載せました。
どのプレゼンも型破りで聴講者に対して強いインパクトを与えます。そうすることで印象づけられ記憶に残ります。
本当は「提供 クラスメソッド」も紹介したかったのですが、なんとなく割愛しました。もしE社関係の方がこのエントリーを読んでいらっしゃったら、私のパクリに許可をいただけますでしょうか?
スライドのレイヤー構造はスライドの再利用性を高めることを目的でやっています。真ん中に入る「実際の背景」がキモです。今のところ、この方法でレイアウトが壊れたことがないので、多分、イケるんじゃないかなあ。スライド作成は時間がかかります。生産性を高めるには再利用しかないだろうというのが今日この頃の考えです。
無料フォトサイトはプレゼンテーションzenに記載されているサイトに最近知ったサイトを追加して載せました。こういったサイトを知っておくのも良いのですが、使えそうな画像は普段からDLしたりURLをメモったりしておくのが吉です。ただし権利とかには注意してください。
Slideshareをやろう、っていうのはこのワークショップで最も言いたかったことなんじゃないかと思っていますw。人から学べることは多いです。また公開したスライドがどう受け取られているのかはview、favs、downlords、tweets、sharesあたりからなんとなーく知れます。
参考資料にはもちろん「プレゼンテーションzen」シリーズが載っています。当日、他の方もプレゼンテーションzenをかなり薦めていたようです。すごい人気。強いて言うなら、読んだだけでは何も変わりません。読んで見よう見まねでいいからそれっぽいことをやってみることが大事です。
またプレゼンテーションzenはプレゼンテーションがどうあるべきかを説明しているのに対し、「パブリック・スピーカーの告白」はその背景にはどういったことがあるのかを説明しています。ワークショップの1週間前に入手してゆっくり読んでいます。良い本です。スコット・バークンさんの失敗談で腹筋が壊されそうになります。
目指すべきところが「プレゼンテーションzen」で、その過程が「パブリック・スピーカーの告白」だと思ってください。両方ともオススメです。
あと「Webレイアウトの「解法」」が参考資料に含まれていることに驚く人がいるかもですが、レイアウトに規則性をもたせることで見た目が良くなることを学んだのはこの本なので載せました。矢野さんの本もオススメです♪
それと「XP祭りの基調LT」は動画がアップされています。是非、見てみると良いでしょう。私の説明よりはるかに良い内容です。
ボツ
実は私が人前に出て話すことをちゃんとやるようになったのは今年の1月からでまだ1年経っていません。マーケティングの仕事は7月からです。初心者なりにいろいろ試行錯誤をしてきました。その結果がこのワークショップです。だからもっと良い方法を知っているよ、という方がいらっしゃったら是非、教えてください。
このページはワークショップに参加してくれた方たちにとって、私が初心者であるなんていう情報はなんら有益ではなくただのノイズだからボツにしました。
だいたい以上です。
ああ、長かった。こんなの最後まで読む人いるかな?
それとこのエントリー「あとで新聞」とかにのらないかなw?
駄文に最後までおつきあいいただき誠にありがとうございます。
1 件のコメント:
「パブリック・スピーカーの告白」の翻訳者(酒匂寛)です。ご紹介ありがとうございました。
とても面白い本だと思います。
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